Letter

糖尿病:fetuin-AはTLR4の内因性リガンドとして作用し、脂質によって誘導されるインスリン抵抗性を促進する

Nature Medicine 18, 8 doi: 10.1038/nm.2851

Toll様受容体4(TLR4)は、炎症性シグナル伝達経路を活性化することで自然免疫に重要な役割を担っている。遊離脂肪酸(FFA)は、TLR4経路を介して脂肪組織の炎症を刺激し、インスリン抵抗性を生じる。しかし、現在の研究ではFFAはTLR4に直接結合しないことが示唆されているが、TLR4の内因性リガンドはまだ見つかっていない。今回我々は、fetuin-A(FetA)がこの内因性リガンドである可能性を明らかにし、FetAがマウスでTlr4シグナル伝達を介したインスリン感受性の調節に非常に重要な役割を持つことを示す。高脂肪食によってインスリン抵抗性が生じたマウスでのFetA(公式にはAhsgとして知られる)のノックダウンは、脂肪組織でTlr4を介した炎症性シグナル伝達の低下を引き起こしたが、FetAの選択的投与は炎症性シグナル伝達およびインスリン抵抗性を誘導した。脂肪細胞でFFAによって誘導される炎症性サイトカインの発現は、FetAとTlr4が共に存在する場合にのみ起こり、どちらか一方の除去はFFA誘導性のインスリン抵抗性を防いだ。さらに、FetAが末端のガラクトシド部分を介してTlr4のLeu100-Gly123およびThr493-Thr516残基に直接結合することを見いだした。変異を導入したTlr4、もしくはガラクトシドを切断したFetAをもつ脂肪細胞では、FFAはインスリン抵抗性を誘導しなかった。まとめると今回の結果は、脂質によるインスリン抵抗性誘導を媒介するTLR4の内因性リガンドとしての必要条件をFetAが満たしていることを示唆している。このことにより、FetAはインスリン抵抗性や2型糖尿病の管理のための新たな治療標的となるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度