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肺疾患:骨髄由来間質細胞から肺胞へのミトコンドリア移行は急性肺傷害に対する保護をもたらす

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2736

骨髄由来間質細胞(BMSC)は急性肺傷害(ALI)に対する保護作用を有する。この防御におけるBMSCミトコンドリアの作用を明らかにする目的で、マウスの気道に最初にリポ多糖(LPS)を、次いでマウスBMSC(mBMSC)、あるいはヒトBMSC(hBMSC)のいずれかを注入した。生体を使う光学的研究により、こうしたマウスでmBMSCは肺胞上皮にコネキシン43(Cx43)を含むギャップ結合チャネル(GJC)を形成し、ミトコンドリアを含む微小胞を放出して、これは上皮に取り込まれた。BMSC由来のミトコンドリアが上皮に存在することは光学的に明らかであり、hBMSCを注入したマウスの肺中にヒトミトコンドリアDNAが存在することによっても確かめられた。ミトコンドリアの移行により、肺胞のATP濃度が上昇した。LPSによってALIが誘発されたことは、肺胞での白血球増多、タンパク質漏出、サーファクタント分泌阻害および高死亡率によって示され、こうしたALIは野生型mBMSC注入によって顕著に抑制されたが、変異型であるGJC機能不全mBMSC、あるいはミトコンドリア機能異常のあるmBMSCでは抑制が見られなかった。今回の結果は、BMSCはCx43に依存して肺胞に付着し、ミトコンドリアを移行させて肺胞の生体エネルギー環境を回復し、ALIに対する保護作用をもたらすことを示した、我々の知る限りで最初の証拠である。

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