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感染症:抗生物質による微生物叢破壊の際に多剤耐性pathobiontが引き起こす致死的なインフラマソーム活性化

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2729

哺乳類の腸は複雑な微生物群集を住まわせており、このような微生物叢は宿主に非常に有益な効果をもたらしている。しかし、この微生物叢はまた、pathobiontと呼ばれる、毒性となりうる種を含んでいることがあり、こうした種は腸の恒常性が破綻した際に疾病を引き起こす可能性を持つ。pathobiontが疾病を引き起こす分子機構はほとんど解明されていない。本論文では、抗生物質を投与したマウスで腸の損傷時に起こる敗血症様の疾患について報告する。この敗血症は、抗生物質を投与したマウスの微生物叢中で著しく増殖した特殊な多剤耐性大腸菌(Escherichia coli)であるpathobiontの全身的な蔓延と関連していた。敗血症に似た急速な死亡が起こるには、自然免疫系の構成因子であるNaip5-Nlrc4インフラマソームが必要だった。コッホの仮説と一致して、大腸菌pathobiontはNaip5-Nlrc4の活性化を引き起こすのに十分であり、また無処置マウスに静脈注射した際には疾病を引き起こすことがわかった。これらの知見は、自然免疫系によるpathobiontの認識によって敗血症様疾患が起こりうる仕組みを明らかにしている。

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