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白血病:ジンクフィンガーヌクレアーゼ処理とレンチウイルスによる遺伝子導入によりT細胞特異性を白血病治療に適するように編集する

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2700

まれに存在する腫瘍特異的リンパ球から単離されたアビディティの高いT細胞受容体(TCR)遺伝子のポリクローナルT細胞への導入は、がん免疫療法の戦略として有望と思われる。しかし、TCR遺伝子の導入は、外因性TCR鎖と内因性TCR鎖間の細胞表面での発現の競合や不適当な対形成を引き起こし、結果として生じるTCRは活性が最適ではなく、有害となりかねない予想外の抗原特異性を持つようになる。我々は、内因性のTCR β鎖およびα鎖遺伝子の破壊を促進するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を設計した。ZFN処理を行ったリンパ球は、細胞表面にCD3-TCRの発現がなく、インターロイキン7(IL-7)およびIL-15を加えると増殖した。ウィルムス腫瘍1抗原特異的なTCRをレンチウイルスにより導入すると、これらの編集されたTCRを持つ細胞は、新しいTCRを高レベルで発現し、高純度となるまで容易に増殖して、ドナーがマッチしているが編集されていないTCRを導入した細胞に比べて、特異的抗原の認識に優れていた。編集されていないTCRを導入した細胞とは対照的に、編集されたTCRを導入したリンパ球は、非特異的な反応を仲介することがなかったが、in vivoでの抗腫瘍活性は維持されていた。したがって、T細胞の特異性を完全に編集することで、バイオセーフティプロファイルを改善した腫瘍特異的リンパ球が作出されることがわかった。

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