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心疾患:遺伝性心筋症の遺伝子RBM20はタイチンのスプライシングを調節する

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2693

選択的スプライシングは心臓の適応応答に重要な役割を果たしており、その一例が心室充満を調節するサルコメアタンパク質タイチンのアイソフォーム切り替えである。我々は、タイチンmRNAスプライシング異常を有することがこれまでに明らかにされているラット系統を用いてポジショナルクローニングを行い、RNA binding motif protein 20をコードする遺伝子(Rbm20)の機能喪失変異が、病的なタイチンアイソフォーム発現の原因であることを突き止めた。Rbm20を欠損するラットの表現型は、RBM20変異を原因とする拡張型心筋症患者で見られる病態と類似していた。ヒトおよびラットの心臓トランスクリプトームの大規模シークエンシングにより、選択的スプライシングのRBM20に依存する調節が明らかとなった。我々は、タイチン遺伝子に加えて、ヒトとラットの間でスプライシング調節が保存されている30個の遺伝子セットを同定した。このネットワークには、心筋症、イオン恒常性、およびサルコメアの生物学的性質との関連が以前に示されている遺伝子が多数含まれている。今回の結果は、心機能に転写後調節が重要な役割を果たすことをはっきり示しており、ヒト心不全の病理発生機構についての手がかりを与える。

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