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白血病:T細胞性急性リンパ芽球性白血病におけるポリコーム抑制複合体2の遺伝的不活性化

Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2651

T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は未成熟な造血細胞の悪性腫瘍で、主としてNOTCH1シグナル伝達の腫瘍形成性の活性化により進行する。本論文では、ポリコーム抑制複合体2(Polycomb repressive complex 2:PRC2)の主要構成成分をコードしているEZH2およびSUZ12遺伝子の機能喪失変異あるいは欠損が、T-ALLの25%で見られることを報告する。T-ALLのNOTCH1依存性マウスモデル、ヒトのT-ALL標品を、NOTCH1により駆動されるエピジェネティックな変化の座位特異的解析および全体的解析と組み合わせて用い、T-ALLにおけるPRC2の役割をさらに検討した。その結果、NOTCH1活性化はヒストン3の抑制性標識であるLys27トリメチル化(H3K27me3)の喪失を、PRC2活性との拮抗によって特異的に誘発することがわかった。これらの結果は、PRC2がヒト白血病で腫瘍抑制的役割を持つこと、また腫瘍形成性のNOTCH1とPRC2の機能間のこれまで知られていなかった動的相互作用が、遺伝子発現や細胞の形質転換の調節にかかわっていることを示唆している。

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