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神経疾患:Sirt1はTORC1およびCREBの転写経路の活性化により、変異型ハンチンチンから神経を保護する作用を仲介する

Nature Medicine 18, 1 doi: 10.1038/nm.2559

タンパク質に作用するNAD依存性デアセチラーゼのSirt1は、哺乳類で細胞の代謝状態やストレスに応じて転写を調節する重要な因子であることが明らかになっている。今回我々は、ハンチンチンタンパク質(HTT)中のグルタミン反復配列の伸長が惹起する神経変性疾患であるハンチントン病の疾患モデルで、Sirt1が神経保護作用を示すことを明らかにする。ハンチントン病マウスモデルで、Sirt1を脳特異的にノックアウトすると脳の病態が増悪するが、Sirt1を過剰発現させると、ハンチントン病マウスの生存および神経病変が改善され、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が上昇する。Sirt1のデアセチラーゼ活性はニューロンを直接の標的として、変異型HTTから神経を保護する作用を仲介することがわかった。Sirt1の神経保護作用には、脳特異的なCREB活性修飾因子であるTORC1(CREB-regulated transcription coactivator 1)が必要である。正常な条件下では、Sirt1はTORC1の脱リン酸化とCREBとの相互作用を促進することにより、TORC1を脱アセチル化して活性化することを示す。正常ラットおよびハンチントン病ラットの両方のニューロンで、BDNFはSirt1およびTORC1の転写活性の重要な標的であることが突き止められた。変異型HTTはTORC1-CREB相互作用を阻害して、BDNFの転写を抑制し、Sirt1はin vitroおよびin vivoでBDNFの欠損を救済する。今回の研究は、正常な脳およびハンチントン病の脳でSirt1が転写ネットワークに極めて重要な役割をもつことを示唆しており、これは治療法開発につながると考えられる。

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