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感染症:ROS誘導性ATF3は、敗血症に関連する
免疫抑制の際に二次感染を起こしやすくする

Nature Medicine 18, 1 doi: 10.1038/nm.2557

敗血症、および敗血症による過剰炎症、それに続く敗血症関連免疫抑制(SAIS)は、重大な死亡原因である。本論文では、ヒトの主要な活性酸素種(ROS)スカベンジャーであるグルタチオンがSAISの際に減少することが、ATF3(activating transcription factor 3)の発現増加と直接相関することを示す。内毒素で刺激した単球では、ROSストレスがNRF2(NF-E2-related factor 2)に依存してATF3を強く過剰誘導した。In vivoでは、Atf3–/–マウスがROSストレス条件下でも内毒素ショックに感受性を示すように、ROSによるATF3の過剰誘導は、自然免疫性サイトカインの抑制によって内毒素ショックに対して防御的に働く。ROSによるATF3の過剰誘導は、内毒素ショックに対しては防御的に働くが、インターロイキン6 (IL-6)の抑制を介して細菌および真菌感染に対する高い感受性を生じさせた。その結果、Atf3–/–マウスは、ROSストレス条件下でも細菌および真菌感染から防御されるが、Atf3–/–Il6–/–マウスはこのような感染に高い感受性を示す。さらにSAISのモデルでは、二次感染によるAtf3–/–マウスの死亡率は、野生型マウスよりもかなり低く、ROS誘導性ATF3がSAISの際の二次感染に対する感受性の決定にきわめて重要であることを示している。

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