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がん:CPEB4が仲介する翻訳制御のがん進行への重要なかかわり

Nature Medicine 18, 1 doi: 10.1038/nm.2540

悪性形質転換、浸潤および血管新生は、腫瘍の起源となった細胞での遺伝子発現の協調的再プログラム化に依存している。遺伝子発現の脱調節は、ゲノム規模およびエピジェネティックな規模で詳細に研究されているが、mRNA特異的翻訳の調節のこの再プログラム化への関与についてはよくわかっていない。本論文では、減数分裂過程におけるmRNAの細胞質ポリアデニル化や翻訳を仲介するRNA結合タンパク質であるCPEB4(cytoplasmic polyadenylation element binding protein 4)が、膵管腺がんや膠芽腫で過剰発現しており、そこで腫瘍の増殖や血管新生および浸潤を助けていることを示す。また、膵臓腫瘍では、CPEB4の発がん促進機能は、正常組織ではサイレンシングされているmRNAの翻訳活性化から生じることも示す。こうしたmRNAには、膵管腺がんの悪性度にかかわる重要な因子である組織プラスミノーゲン活性化因子のmRNAなどが含まれる。まとめると我々の結果は、転写後遺伝子調節の腫瘍増殖における重要な役割を立証しており、悪性腫瘍への進行の基盤となる遺伝子発現再プログラム化の詳細な機構を説明している。

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