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ワクチン:CD8+細胞性免疫は非ヒト霊長類のエボラウイルス感染に対するrAd5ワクチンによる防御を媒介する

Nature Medicine 17, 9 doi: 10.1038/nm.2447

非ヒト霊長類(NHP)でエボラウイルス感染に対して生じるワクチン誘導性免疫は、強力な抗原特異的細胞性応答と液性免疫応答が特徴だが、その防御の免疫学的機序はわかっていない。今回我々は、エボラウイルス糖タンパク質をコードする非常に防御性の高い組換え型アデノウイルス血清型5(rAd5)によってNHPに生じる防御の免疫的基盤を明らかにする。ワクチン接種を受けてエボラウイルスに対して免疫があるカニクイザルの高力価ポリクローナル抗体を未処置のサルへ受動移入しても病気に対する防御が付与されなかったことから、液性免疫の役割は限定的であることが示唆される。これとは対照的に、ワクチン接種後のサルでウイルスによる攻撃誘発の直前にin vivoでCD3+T細胞を除去すると、ワクチン接種したサル2匹の免疫は失われ、この条件ではT細胞が不可欠であることが示された。CD4+T細胞や液性免疫応答に影響しないcM-T807モノクローナル抗体を使ったin vivoでのCD8+細胞の除去により、5匹のサルのうちの4匹で防御が失われたので、この防御効果の大部分はCD8+細胞によって媒介されていたと考えられる。これらの知見は、NHPではエボラウイルス感染に対するrAd5-GP誘導性の免疫防御に、CD8+細胞が大きな役割を担っていることを示している。エボラウイルスに対する防御の免疫学的機序の解明は、エボラウイルスやそれと近縁の出血熱ウイルスに対するヒト用ワクチンの開発を促進するだろう。

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