Letter

細菌毒素:宿主によるS-ニトロシル化は小分子によって
活性化されるクロストリディウム・グルコシル化毒素を阻害する

Nature Medicine 17, 9 doi: 10.1038/nm.2405

Clostridium difficileによる重篤な感染が世界中に拡がっていることは、クロストリディウムのグルコシル化毒素の臨床的重要性をはっきり示している。毒性は、毒素のシステインプロテアーゼの自己活性化に依存しており、この活性化はアロステリックなコファクターであるイノシトールヘキサキスリン酸(InsP6)によって促進される。このような外毒素に対する宿主の防御機構はよくわかっていない。宿主免疫などの、一酸化窒素(NO)によるとされる多面的な機能にはおおむね、タンパク質のS-ニトロシル化がかかわっていることが次第に認められつつある。本論文では、Clostridium difficile毒素は感染宿主によってS-ニトロシル化され、S-ニトロシル化は毒素の自己切断を阻害し、細胞への侵入抑制によって毒性を低減させることを示す。特に、InsP6やイノシトールピロリン酸(InsP7)によって誘導される毒素のコンホメーション変化は、構造的に保存されたニトロシル化モチーフの一部である毒素触媒部位のシステインの、宿主のS-ニトロソチオールによるトランスニトロシル化を可能にする。また、Clostridium difficile感染のマウスモデルでは、外部からのInsP6投与により、経口投与したS-ニトロソチオールの治療効果が増強された。したがって、ニトロソチオールを基盤とする自然免疫の進化的発達では、細菌タンパク質に対するアロステリック効果がうまく使われており、これは新しい治療法開発につながるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度