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糖尿病:ヒトではアルファ細胞がベータ細胞機能をプライミングする非神経性パラクリンシグナルとしてアセチルコリンを分泌する

Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2371

アセチルコリンはインスリンを分泌する膵ベータ細胞の機能に重要な役割を担う神経伝達物質である。いくつかの生物種で、内分泌膵(ランゲルハンス島)の副交感神経支配によって、ベータ細胞にコリン作動性入力が生じることが示されているが、現在、ヒトのベータ細胞機能における自律神経支配の役割は明らかではない。本論文では、マウス膵島の場合とは対照的に、ヒト膵島のコリン作動性支配は希薄であることを示す。ヒト膵島のアルファ細胞はその周囲の内分泌細胞にパラクリン性にコリン作動性入力をもたらすことがわかった。ヒト・アルファ細胞は、小胞型アセチルコリン輸送体を発現しており、カイニン酸による刺激、あるいはグルコース濃度の低下によりアセチルコリンを放出する。アルファ細胞によるアセチルコリン分泌が起こると、ベータ細胞のグルコース濃度上昇に対する感受性が増強される。我々の結果は、ヒト膵島のアセチルコリンはパラクリンシグナルとして働いて、ベータ細胞をその後のグルコース濃度の上昇に適切に応答するようにプライミングすることを実証している。膵島内のコリン作動性シグナル伝達は糖尿病での治療標的になると考えられ、今回の結果が将来の薬剤開発につながることをはっきり示している。

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