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がん:選択的スプライシングによって生じるNKp30のアイソフォームは消化管間質腫瘍の予後に
影響する

Nature Medicine 17, 6 doi: 10.1038/nm.2366

ナチュラルキラー(NK)細胞受容体であるNKp30は腫瘍と樹状細胞(DC)の認識にかかわっている。本論文では、3種のNKp30スプライシング変異体の消化管肉腫(GIST)の予後に対する影響について述べる。GISTはNKp30リガンドを発現する悪性腫瘍で、NK細胞刺激性のKITチロシンキナーゼ阻害剤によって治療されている。健常者とGIST患者では、機能的に異なるNKp30アイソフォームについて、異なる転写パターンが見られる。80人のGIST患者の後向き解析では、免疫抑制性のNKp30cアイソフォームの発現が(免疫刺激性のNKp30aとNKp30bアイソタイプを超えて)優勢になることが、患者の生存低下、NKp30依存性の腫瘍壊死因子α(TNF-α)とCD107aの放出減少、NK-DCクロストークにおけるインターフェロンγ(IFN-γ)およびインターロイキン12(IL-12)分泌障害(IL-10遮断により回復可能)をもたらす。NKp30c発現が優先するようになるのは、NKp30をコードしている遺伝子の3'非翻訳領域の3,790番目の位置の一塩基多型が一因である。遺伝的に規定されたNKp30の状態からはKITの変異とは無関係にGIST患者の臨床転帰が予測される。

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