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がん:膵管腺がんのサブタイプとその治療反応性の差異

Nature Medicine 17, 4 doi: 10.1038/nm.2344

膵管腺がん(PDA)は致死的な疾患であり、全生存期間は一般に診断後6カ月である。他の悪性腫瘍では有効な薬剤を用いて多くの第3相臨床試験が行われてきており、治療に反応する患者が時々見られるものの、無選択のPDA患者群については有効性が示されていない。他の固形腫瘍の研究では、治療応答の不均一性を決定する一因は、腫瘍間の分子的な差異であることが示されている。さらに、薬剤が選択的に有効性を示す腫瘍サブタイプを対象とすることで転帰は改善されるが、これは乳腺や肺のがんで最近の例が示されている。PDAの分子サブタイプの同定は、研究用の腫瘍標品が少ないことに阻まれてきた。今回、この問題を、複数の研究からの原発PDA標品の転写プロファイルと、ヒトやマウスのPDA細胞株を組み合わせて解析することにより克服した。そして、古典的、擬間葉性および外分泌腺様という3種のサブタイプが明らかにされ、これらのサブタイプの臨床転帰と治療応答に差異があることの証拠が示された。さらに、これらのサブタイプについて、治療のための患者層別化に有用な遺伝子シグネチャーを明らかにし、新たなサブタイプ特異的治療法の発見に使える前臨床モデル系を提示する。

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