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組織再生:間葉系幹細胞を用いる組織再生はレシピエント
のTリンパ球によってIFN-γとTNF-αを
介して支配される

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2542

幹細胞を用いる再生医療は、組織再構築における有望な方法である。本論文では、骨修復を仲介するために移植された骨髄間葉系幹細胞(BMMSC)の能力を炎症促進性T細胞が阻害することを示す。この阻害は、BMMSCでいずれもインターフェロンγ(IFN-γ)が誘導するRunx-2(runt-related transcription factor 2)経路減弱および腫瘍壊死因子α(TNF-α)シグナル伝達増強に起因する。また、BMMSCでは、TNF-αが、NF-κBの阻害を介して、IFN-γによって活性化されるFas(TNF receptor superfamily member 6)の非アポトーシス性シグナル伝達を、カスパーゼ3およびカスパーゼ8に関連するアポトーシス促進カスケードに変換し、その結果BMMSCのアポトーシスが引き起こされることもわかった。これとは逆に、C57BL/6マウスでFoxp3+制御性T細胞の全身的注入あるいはアスピリンの局所投与により、IFN-γおよびTNF-αの濃度を低下させると、BMMSCを用いる骨再生および頭頂骨欠損の修復が著しく改善した。まとめるとこれらのデータは、BMMSCを用いる組織再生にレシピエントのT細胞が果たすこれまで認識されていなかった役割を示
している。

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