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骨疾患:破骨細胞でのセマフォリン4D発現による骨形成の抑制

Nature Medicine 17, 11 doi: 10.1038/nm.2489

骨粗鬆症に対して現在使用可能な薬物のほとんどは、破骨細胞による骨吸収を阻害するものであり、骨芽細胞による骨形成を促進する薬物はごくわずかである。したがって、骨形成を制御する因子の同定の必要性はますます高まっている。本論文では、破骨細胞が、これまでに軸索誘導分子であることが明らかにされているセマフォリン4D(Sema4D)を発現し、これが骨形成を強力に抑制することを示す。骨芽細胞上の受容体プレキシンB1にSema4Dが結合すると、低分子量GTPアーゼRhoAが活性化され、それがインスリン様増殖因子1(IGF-1)シグナル伝達抑制および骨芽細胞の運動性制御により骨形成を抑制する。Sema4d–/–マウス、Plxnb1–/–マウス、および優性ネガティブ型RhoAを骨芽細胞特異的に発現するマウスは、骨形成の増加のため骨硬化症の表現型を示した。Sema4D特異的抗体が、閉経後骨粗鬆症モデルで骨量減少を顕著に防ぐことは特に注目される。したがって、Sema4Dは骨量増加薬の発見と開発における新たな治療標的となる。

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