Letter

がん:小細胞肺がんにはヘッジホッグシグナル伝達が必須である

Nature Medicine 17, 11 doi: 10.1038/nm.2473

小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの悪性度の高い神経内分泌性のサブタイプで、有効な治療法がない。成体マウス肺上皮でのRb1Trp53の欠失がSCLCを誘発するマウスモデルを用い、SCLC細胞では肺の微小環境に関係なくヘッジホッグシグナル伝達経路が活性化していることが見いだされた。ヘッジホッグシグナル伝達分子であるSmoothened(Smo)の構成性活性化は、in vitroではヒトSCLCのクローン形成能を促進し、in vivoではマウスSCLCの発症と進行を促進した。これとは逆に、Rb1変異肺上皮細胞とTrp53変異肺上皮細胞でSmoを欠損させると、マウスでSCLC発症と進行が強力に抑制された。さらにヘッジホッグシグナル伝達を薬理学的に遮断すると、マウスとヒトのSCLCの増殖が阻害され、それは化学療法後に特に顕著だった。これらの知見は、SCLCの発生と維持にヘッジホッグシグナル伝達が細胞内在性の重要な役割をもつことを示しており、またヘッジホッグ経路阻害が、SCLC患者で病気の進行を遅らし、がん再発を遅延させる治療戦略であることを明らかにしている。

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