Editorial

薬剤標的が滑ってひっそり消えていく

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2530

薬剤開発計画は、新しい薬剤標的についての論文が出発点となることが多い。そのような論文の信頼性の評価には、科学的発見や論文発表の過程の微妙な部分を見極める目が必要だ。バイエルヘルスケア社の研究者によれば、新規薬剤標的に関する論文を実験によって検証したところ、調べた67報のうちで論文とまったく一致する結果が得られたものは21%であった。この数字は極めて低いといえる。専門家による評価や論文のジャーナル掲載は「科学的真実」を保証するものではなく、著者も出版社も、結果を売り込みすぎないように気をつけるのは当然のことだ。21%という数字は、あらゆる手段を講じ改善しなくてはならない。だが、科学的発見の過程と、即戦力となる薬剤標的を欲しがる製薬会社との間がうまくつながっていないことも確かなのだ。

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