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がん:腫瘍抑制因子BRCA1は発がん性のmicroRNA-155をエピジェネティックに制御する

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2459

BRCA1はよく知られた腫瘍抑制因子で多数のパートナー分子と相互作用し、多様な生物学的機能をもつと予測されている。しかしながら、これまでに確認されたのはDNA損傷修復と細胞周期調節における役割だけである。この点について、BRCA1の低浸透率の変異体を病因病理学的に研究すれば、この分子のこれまで知られていなかった重要な機能を解明する機会が得られると考えられる。我々は、中等度のリスクと予測されるBRCA1のR1699Q変異体について調べ、この変異はDNA損傷修復を障害することはないが、真のがん関連microRNA(oncomir)であるmicroRNA-155(miR-155)の抑制を解除することを見いだした。BRCA1はHDAC2との結合によってmiR-155の発現をエピジェネティックに抑制するという機序により作用しており、HDAC2はmiR-155プロモーター上のヒストンH2AとH3を脱アセチル化する。miR-155の過剰発現はin vivoでの腫瘍細胞系統の増殖を促進するが、miR-155のノックダウンは増殖を抑制することを示す。今回の知見は、BRCA1による腫瘍抑制の新しい方式を明らかにしており、miR-155がBRCA1欠損腫瘍での治療標的となる可能性を示唆している。

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