Letter

臓器移植:ex vivoで増殖させたヒト調節性T細胞によるin vivoでの移植後動脈硬化の防止

Nature Medicine 16, 7 doi: 10.1038/nm.2154

移植後動脈硬化は、移植された臓器に長期にわたって影響を与える慢性同種移植片機能不全(CAD)の特徴である。これらの繊維増殖性病変は、移植された同種移植片すべてで動脈の新内膜肥厚を引き起こし、さらに管腔の狭窄は移植片の虚血と臓器の死につながる。これまでに、移植後動脈硬化を防ぐ寛容誘導戦略は知られていない。したがって我々は、ex vivoで増殖させたヒト調節性T細胞(Treg細胞)が移植後動脈硬化を防止できるという考えを検証する研究を設計した。本論文では、CADと関連のある臨床症状を示すキメラ化・ヒト化マウス系で、2つの異なる戦略に基づいて分別されたTreg細胞が、移植後動脈硬化を防止するかなりの能力をもつことを示す。ヒト動脈の移植後動脈硬化のin vivoでの発症が、ex vivoで増殖させたヒトTreg細胞の投与によって防止されることがわかった。さらに、CD127の発現が低いことで分別されたTreg細胞は、従来のTreg細胞よりも強力な治療効果をもつことを示す。我々の結果は、ヒトTreg細胞は、エフェクター機能や移植片への浸潤の低下により移植後動脈硬化を抑制できることを実証している。この知見は、同種移植および免疫がかかわるその他の血管症原因の両方で、移植後動脈硬化を標的とする治療法臨床開発の基盤となると予測される。

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