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感染症:インターロイキン33は感染部位への好中球流入の促進によって敗血症を軽減する

Nature Medicine 16, 6 doi: 10.1038/nm.2156

敗血症は、細菌感染後の全身性炎症状態であり、致死率が高く、治療の選択肢は限られている。今回我々は、マウスの盲腸結紮・穿孔による実験的敗血症で、インターロイキン33(IL-33)が死亡率を低下させることを示す。IL-33を投与したマウスは、腹腔への好中球の流入が増加し、投与していないマウスよりも効率よい細菌クリアランスがみられた。IL-33は、全身性の炎症促進性応答は抑制するが、局所的なそれには影響せず、また1型ヘルパーT(TH1)からTH2への移行も誘導しなかった。ケモカイン受容体CXCR2は、循環血から感染部位への好中球動員にきわめて重要である。好中球でのToll様受容体(TLR)活性化は、CXCR2発現を低下させ、好中球遊走を障害する。本論文では、マウスとヒトの好中球で、IL-33がTLR4活性化によるCXCR2発現低下と走化性障害を防ぐことを示す。さらに、IL-33が好中球でのTLR4誘導性のCXCR2発現低下を回復させることも示す。この回復は、ケモカイン受容体のインターナリゼーションを誘導するセリン・トレオニンプロテインキナーゼであるGタンパク質共役型受容体キナーゼ-2の発現阻害を介して起こる。また、敗血症から回復しなかった患者では、可溶性ST2(sST2、IL-33のデコイ受容体)が、回復した患者に比べて著しく多かったことがわかった。まとめるとこれらの結果は、IL-33の今まで報告されたことのない作用機序を明らかにしており、またIL-33が敗血症の治療に使える可能性を示唆している。

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