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関節症:低酸素誘導因子2αは変形性関節症での軟骨破壊の異化性調節因子である

Nature Medicine 16, 6 doi: 10.1038/nm.2153

変形性関節症の軟骨破壊は、同化性因子と異化性因子間の不均衡によって引き起こされる。今回我々は、低酸素誘導因子2α(HIF-2α、EPAS1にコードされる)が、変形性関節症の発症過程における異化性転写因子であることを示す。HIF-2αは軟骨細胞で、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP1MMP3MMP9MMP12およびMMP13)、アグリカナーゼ1(ADAMTS4)、一酸化窒素合成酵素2(NOS2)やプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ2(PTGS2)などの異化性因子をコードする遺伝子の発現を直接誘導する。HIF-2αの発現は、ヒトおよびマウスの変形性関節症の軟骨で顕著に増加しており、マウスとウサギでHIF-2αを異所性発現させると関節軟骨の破壊が引き起こされる。さらに、軟骨細胞だけにEpas1を遺伝子導入したマウスでは自然発生的な軟骨破壊が見られたが、Epas1をヘテロ欠損するマウスは、内側半月板不安定化あるいはコラゲナーゼ注入により引き起こされた軟骨破壊が抑制され、それに伴って異化性因子の発現に変化がみられた。以上の結果は、HIF-2αが重要な異化性遺伝子の調節により軟骨破壊を引き起こすことを明らかにしている。

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