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白血病:PU.1を介したCSF1Rの発現増加はMOZ-TIF2により誘導される白血病幹細胞活性に必須である

Nature Medicine 16, 5 doi: 10.1038/nm.2122

白血病などのがんには自己複製能をもつ幹細胞が存在し、この細胞ががんを維持するために必要である。がん幹細胞の根絶は、抗がん治療の成功に重要であると考えられている。今回我々は、白血病関連MOZ(monocytic leukemia zinc finger)-TIF2融合タンパク質によって誘発される急性骨髄性白血病(AML)モデルを用いて、AMLは白血病幹細胞の除去により治癒できることを示す。MOZ-TIF2やMOZ-CBP などのMOZ融合タンパク質は、転写因子PU.1と相互作用することで、マクロファージコロニー刺激因子受容体(CSF1R、別名M-CSFR、c-FMSもしくはCD115)の発現を誘導した。PU.1欠損マウスを用いた解析から、MOZ-TIF2によるAML幹細胞の確立や維持にPU.1が必須であることが示された。CSF1Rの発現が高い細胞(CSF1Rhigh細胞)には強力な白血病誘導活性があるのに対して、CSF1Rの発現が低い細胞(CSF1Rlow細胞)にはこのような活性はなかった。CSF1Rプロモーターにより制御される薬剤誘導可能な細胞死誘導遺伝子を発現するトランスジェニックマウスで、CSF1Rhigh細胞の除去によりAMLが治癒した。さらに、CSF1R欠損マウスではAMLの誘導が抑制され、CSF1Rの阻害剤によりMOZ-TIF2誘発性白血病の進行が遅れた。したがって、AMLのこのサブタイプでは、白血病幹細胞はCSF1Rhigh細胞集団に含まれ、PU.1を介したCSF1Rの発現増加を標的にすることは治療法として有効であると考えられる。

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