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ミクログリアが脳へとたどる長い旅路

Nature Medicine 16, 12 doi: 10.1038/nm1210-1380

ミクログリアは、脳に常在するマクロファージとして見つかって以来、その起源や脳内での恒常性維持の仕組みについては異論が多かった。1990年代以降には、胚期および出生後の骨髄系前駆細胞から脳内の成体ミクログリアが生じるらしいと考えられるようになったが、ミクログリアがどのようにして生じるのか、その仕組みについてはまだ論争が続いている。F Ginhouxたちがマウスで行った最近の研究で、胎生8日以前に卵黄嚢から形成される胎生マクロファージから、成体脳でみられるミクログリア集団のほぼすべてが生じることが報告された。また、胎仔および成体の造血に由来する末梢骨髄系細胞の寄与は、たとえあったとしてもごくわずかだった。ミクログリアとその卵黄嚢由来前駆細胞は、他の単球や組織マクロファージとは異なる受容体やリガンドに依存している。こうした知見によって、多面的なこの脳細胞の起源についての長年の論争が終結するかもしれない。

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