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【BETWEEN BEDSIDE AND BENCH】 治療の「余波」を詳しく調べる

Nature Medicine 16, 10 doi: 10.1038/JNM1010-5

ヒトが宿主として腫瘍や抗がん剤治療にどのように反応するかは、まだ十分に解明されていない。この反応に関与するサイトカイン類などのメディエーターは、より効果的な治療薬、あるいはがんの治療法を探索していく際に、敵になることも味方になることもある。BEDSIDE TO BENCHではR S KerbelとJ M L Ebosが、健常者や、疾患が最小限、あるいはないに等しい程度の人々が抗血管新生療法を受けると、その後で宿主由来サイトカインの放出が起こることを明らかにした最近の複数の研究を論じている。宿主体内での転移や腫瘍再増殖にかかわるVEGF、PIGFや他のサイトカイン類のような血管新生促進因子の増加は治療の成功を脅かしかねないが、一方で新しい予後予測マーカーやまた別の治療戦略が示唆される可能性もある。BENCH TO BEDSIDEではM KarinとF R Gretenが、腫瘍でJAK2阻害剤を使ってSTAT3を阻害すると、がんの進行がどのようにしてくい止められるのかを詳しく論じている。JAK2阻害剤は、骨髄増殖性疾患治療のための臨床試験がすでに行われているが、抗がん剤としても有効なことが明らかになるかもしれない。

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