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免疫:NOD2の刺激は樹状細胞でオートファジーを誘導し、細菌の処理や抗原提示に影響を及ぼす

Nature Medicine 16, 1 doi: 10.1038/nm.2069

NOD2(Nucleotide-binding oligomerization domain-containing-2)は、樹状細胞(DC)で細菌のセンサー分子として働くが、細菌の認識がNOD2刺激後の抗原提示に結びつく仕組みは明らかでない。NOD2の変異体は、常在細菌の自己認識の破綻が消化管炎症を引き起こすクローン病と関連づけられている。本論文では、ムラミルジペプチドによるNOD2の活性化がDCでオートファジーを誘導することを示す。この誘導には、RIPK-2(receptor-interacting serine-threonine kinase-2)、ATG5(autophagy-related protein-5)、ATG7、およびATG16L1が必要だが、NALP3(NLR family, pyrin domain containing-3)は不要である。また、NOD2を介するオートファジーがDCでの細菌処理と、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII抗原特異的なCD4+ T細胞応答誘導の両方に必要であることを示す。クローン病患者由来のDCで、クローン病関連遺伝子であるNOD2あるいはATG16L1の発症リスクの高い変異体を発現しているものでは、オートファジーの誘導、細菌の輸送および抗原提示が損なわれている。これらの知見により、2つのクローン病感受性遺伝子が単一の機能性経路に結びつけられ、またクローン病のDCにおけるこの経路の障害が明らかとなった。おそらく、この障害がリソソームによる菌体破壊や免疫を介する除菌を損ない、細菌の持続感染を導くのだろう。

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