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血管形成:血小板は出生後の動脈管閉鎖に関与する

Nature Medicine 16, 1 doi: 10.1038/nm.2060

動脈管(DA)は、胎生期に肺動脈と大動脈間の短絡路となっている血管であり、出生後は直ちに閉鎖される。出生後のDAの閉鎖障害は、罹患率および死亡率上昇(特に早期産児での)の主要因となっている。DA閉鎖につながる事象は十分解明されていない。今回我々は、血小板がDA閉鎖に重要な役割をもつことを示す。マウス新生仔での生体内顕微鏡観察により、DAの閉鎖時には管腔側面に血小板が動員されることが見いだされた。血小板の粘着能または凝集能が不十分である場合、あるいは血小板産生障害を有する新生仔では、DA閉鎖が障害される。DAの不完全な閉鎖によって左右短絡が生じ、肺血流の増加、肺血管リモデリングおよび右室肥大が起こる。今回の知見は、収縮したDAの血栓による閉鎖を促進し、管腔のリモデリングを助ける血小板が、DA閉鎖に不可欠であることを示している。後向き臨床研究から、ヒト早期産児のDA閉鎖障害について血小板減少が独立した予測因子となることが明らかにされた。このことは、ヒトでのDA閉鎖にも血小板が関与している可能性を示している。

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