Article

脳梗塞:酸化/ニトロ化ストレスに誘発される周皮細胞の収縮は、閉塞大脳動脈が開通した場合でも毛細血管の還流を障害する

Nature Medicine 15, 9 doi: 10.1038/nm.2022

本論文では、無傷状態のマウス脳で虚血が微小血管周皮細胞の持続的な収縮を誘発することを示す。周皮細胞は、2時間の虚血の後に中大脳動脈が開通しても、収縮状態を維持する。周皮細胞の収縮は毛細血管を緊縮させ、赤血球が流れるのを妨げる。酸化/ニトロ化ストレスを抑制すると、周皮細胞の収縮が解け、赤血球の停滞が緩和され、微小血管が再び開通して、それにより組織の生存が高まる。対照的に、ペルオキシ亜硝酸の投与は周皮細胞の収縮を引き起こす。また、微小血管壁は、虚血や再灌流が誘発する微小血管機能障害にかかわる酸素ラジカルや窒素ラジカルの主要な供給源であることも示す。これらの知見は、重要だがこれまで認識されなかった病態生理学的機序を示唆している。つまり、虚血や再灌流が誘発する周皮細胞の機能障害が、微小循環の還流を障害し、既に代謝ストレスをこうむっている組織への基質や薬物の送達を制限して、閉塞した動脈は再開通しているにもかかわらず、生存率に悪影響を与える。周皮細胞の機能障害および微小血管の開通性を回復させる薬剤は、血栓溶解治療や神経保護治療の成功度を高める可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度