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肺疾患:NADPHオキシダーゼ4は肺損傷に対して起こる筋繊維芽細胞活性化と繊維形成応答を仲介する

Nature Medicine 15, 9 doi: 10.1038/nm.2005

O2の活性酸素種への還元を触媒する酵素であるNADPHオキシダーゼ(NOX)ファミリーのメンバーは、真核生物の進化の過程でその数を増やしてきた。哺乳動物では、NOX遺伝子ファミリーの7つのアイソフォームが同定されているが、哺乳動物の生理と病態生理におけるNOX酵素の特異的役割は十分解明されていない。NOX酵素の最もはっきりしている生理的役割は、植物を含むさまざまな生物種でみられる、病原体侵入に対する宿主防御におけるものである。このファミリーの典型的なメンバーであるNOX-2(gp91phox)は、食細胞に発現し殺菌活性を仲介する。今回我々は、NOX4アイソフォームの筋繊維芽細胞の組織修復機能と繊維形成に果たす役割について報告する。トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β 1)は、肺の間充織細胞で、遺伝子転写を調節する受容体調節型タンパク質SMAD-3を介してNOX-4発現を誘導する。NOX-4に依存した過酸化水素(H2O2)産生は、TGF-β 1に誘導される筋繊維芽細胞分化、細胞外マトリックス(ECM)産生および収縮性に必要とされる。NOX-4は、非感染性損傷を受けたマウス肺やヒト特発性肺繊維症(IPF)の症例で発現が増加している。2種類の肺損傷マウスモデルで、NOX-4を標的とする遺伝的あるいは薬理学的処置により繊維形成が停止した。以上の結果は、組織の繊維形成にNOX4が機能を果たすことを裏付けており、難治性の繊維症でNOX-4を治療標的とするという考えを立証している。

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