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免疫:ベクター媒介遺伝子導入はサルのSIV感染に対して長く持続する中和活性と防御力を生じる

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.1967

有効なHIVワクチン作出に重要なのは、ウイルス野外株に対して広範な中和活性をもつ持続可能な抗体を誘導する免疫原の開発である。そのような免疫原の発見や設計はほとんど進んでいない。我々は、サル免疫不全ウイルス(SIV)モデルを用いて全く異なる手法、すなわち、あらかじめ決められたSIV特異性をもつ抗体、もしくは抗体様イムノアドヘシンを発現するアデノ関連ウイルス遺伝子導入ベクターの筋肉への送達を試みた。この方法により、SIV特異的分子が筋繊維で内在的に合成され、受動的に循環系に行きわたる。サルにこの方法を使って、血清中に長期にわたって持続する中和活性を生じさせたところ、強い病原性をもつSIVの静脈内攻撃接種に対する完全な防御が観察された。この方法は、適応免疫系をバイパスするもので、有効なHIVワクチン作製のための独特な手法としてかなり有望と思われる。

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