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肥満/免疫:CD8+エフェクターT細胞は肥満時のマクロファージ動員と脂肪組織の炎症に寄与する

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.1964

近年、炎症は、肥満における代謝疾患の根底にある重要なプロセスとみなされるようになった。肥満脂肪組織は活発な局所的炎症の特徴を示すが、現在のところ、炎症カスケードを構成する一連の現象や、炎症を進行させる機序についてはほとんどわかっていない。我々は、高脂肪食を与えた肥満マウスでは、精巣上体(内臓)脂肪組織にCD8+エフェクターT細胞が多数浸潤するが、その一方でCD4+ヘルパーT細胞および調節性T細胞の数は減少していることを見いだした。CD8+ T細胞による浸潤はマクロファージの集積に先行して起こり、免疫学的および遺伝学的な方法によるCD8+ T細胞の除去により、肥満に伴うマクロファージの浸潤と脂肪組織の炎症が減弱し、全身性のインスリン抵抗性が改善した。反対に、CD8欠損マウスへのCD8+ T細胞の細胞移入により肥満に伴う脂肪組織の炎症が悪化した。共培養などのin vitro実験から、CD8+ T細胞、マクロファージおよび脂肪組織の間の相互作用の悪循環が示された。我々の知見は、肥満脂肪組織がCD8+ T細胞を活性化し、マクロファージの動員と活性化を促進することを示唆している。これらの結果は、CD8+ T細胞は肥満における脂肪組織の炎症の開始と増幅に必須であるという考えを裏付けている。

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