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免疫:リンホトキシンαを発現するTH1およびTH17細胞を標的とする細胞除去は自己免疫疾患を抑制する

Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1984

1型ヘルパーT(TH1)細胞やTH17細胞が制御されない状態は自己免疫応答と関連している。我々は、TH0、TH1およびTH17細胞では、細胞表面にリンホトキシンα(LT-α)が共通に発現していることを突き止め、細胞表面のLT-αに対する除去用モノクローナル抗体(mAb)を使ってこのようなサブセットを標的とするという独自の方法を試みた。LT-α特異的な除去用mAbによって、T細胞が介在する疾患のモデルである遅延型過敏症や実験的自己免疫性脳脊髄炎が防止された。コラーゲン誘導関節炎(CIA)では、LT-α特異的mAbの予防的および治療的投与によって疾患が抑制され、またインターロイキン17(IL-17)、インターフェロンγおよび腫瘍壊死因子α(TNF-α)を発現するT細胞が免疫除去された。一方、デコイ・リンホトキシンβ受容体(LT-βR)融合タンパク質では影響がみられなかった。LT-α特異的mAbのFc尾部に、Fcγ受容体に結合できなくなり、抗体に依存する細胞傷害活性が発揮できなくなるような変異を導入すると、in vivoでみられるすべての影響が失われた。CIAでは、有効性がみられるのに先立って、リウマチ関連サイトカインであるIL-6、IL-1βおよびTNF-αが関節内から消失した。これらのデータは、LT-αを発現するリンパ球のLT-α特異的mAbによる除去が、自己免疫疾患の治療に有効である可能性を示している。

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