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免疫:ブドウ球菌細胞壁のToll様受容体2リガンドは、スーパー抗原誘導性のT細胞活性化を抑制し、毒素性ショック症候群を防止する

Nature Medicine 15, 6 doi: 10.1038/nm.1965

ブドウ球菌スーパー抗原は発熱性外毒素で、大規模なT細胞活性化を引き起こし、これが毒素性ショック症候群や死につながる。これらの毒素は強力な適応免疫応答を誘導するにもかかわらず、スーパー抗原を産生するブドウ球菌による感染は臨床現場ではごく普通にみられる。我々は、その一因が、これらの毒素に対するT細胞応答を抑制する戦略を発達させたブドウ球菌株の存在かもしれないと考えた。本論文では、ブドウ球菌スーパー抗原に対するヒトのインターロイキン2応答が、同時に細菌が存在すると抑制されることを示す。このような抑制的影響が生じるのは、ペプチドグリカン層に埋め込まれた分子がToll様受容体2に結合して、インターロイキン10産生と抗原提示細胞のアポトーシスを引き起こしたためである。スーパー抗原誘導性毒素性ショック症候群のマウスモデルで、加熱殺菌ブドウ球菌あるいは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ペプチドグリカンのどちらかと、ブドウ球菌エンテロトキシンBを同時に投与すると、死亡が相当度防止されることがわかり、in vivoでこれらの知見が実証された。

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