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骨疾患:胃の酸性化障害はカルシウム恒常性と骨量に負の影響を与える

Nature Medicine 15, 6 doi: 10.1038/nm.1963

適正な血清カルシウム濃度は、破骨細胞活性化と活性化破骨細胞による酸性化依存性骨吸収によって維持されると考えられている。今回我々は、破骨細胞の機能障害だけでは、一般にカルシウム恒常性に影響を与えないことを示す。実際、破骨細胞活性にきわめて重要なチロシンキナーゼをコードするSrcを欠損するマウスは大理石骨病の兆候を示すが、低カルシウム血症あるいは骨石灰化障害は示さない。壁細胞による酸分泌に影響を与えるガストリン受容体をコードするCckbrを欠損するマウスでは、予想どおり胃の酸性化に異常を呈するが、二次性副甲状腺機能亢進症と骨粗鬆症、軽度の低カルシウム血症もみられるようになる。これらの結果は、特にグルコン酸カルシウムの補充がCckbr変異マウスの表現型を完全に救済することを考えれば、カルシウム恒常性の変化が胃の酸性化障害により起こりうることを示唆している。また、破骨細胞と壁細胞の両方に特異的に発現する液胞型プロトンポンプのサブユニットをコードするTcirg1を欠損するマウスは、低カルシウム血症と大理石骨病性くる病(osteopetrorickets)を呈する。Src欠損マウスもCckbr欠損マウスも大理石骨病性くる病の症状は示さないが、両方の遺伝子の複合欠損は大理石骨病性くる病につながる。したがって、大理石骨病と大理石骨病性くる病は異なる表現型であり、この違いは酸性化障害の生じた細胞が一種か、あるいは複数種かによって決まる。

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