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免疫:アジュバントとして投与されたIL-7は多様な細胞性および分子的阻害ネットワークに拮抗し免疫療法を増強する

Nature Medicine 15, 5 doi: 10.1038/nm.1953

免疫応答を増強する主要な因子の同定は、腫瘍に対する免疫の操作に非常に重要である。本論文では、ワクチン誘導性の免疫応答後にアジュバントとして投与されたインターロイキン7(IL-7)が、抗腫瘍応答と生存率を改善することを動物モデルで示す。この免疫応答の改善は、IL-6産生の増加と17型ヘルパーT細胞分化の増強をともなう。さらに、IL-7は2種のユビキチンリガーゼの発現を調節する。すなわち、T細胞活性化の負の調節因子であるCbl-b(Casitas B-lineage lymphoma b)の発現は抑制され、トランスフォーミング増殖因子βシグナル伝達に拮抗するSmurf2(SMAD-specific E3 ubiquitin protein ligase-2)の発現は亢進する。注目すべきことに、短期のIL-7治療はワクチンを介した免疫は強力に増強するが、ワクチン接種をしない場合は、T細胞の恒常的増殖を誘導するにもかかわらず、抗腫瘍免疫応答に対する促進効果はないことがわかった。このアジュバントIL-7の、細胞および分子レベルで阻害ネットワークに拮抗する能力は、腫瘍治療における免疫療法に大きなかかわりがある。

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