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骨粗鬆症:エストロゲン依存性およびC-Cケモカイン受容体2依存性経路が骨粗鬆症で破骨細胞のふるまいを決定する

Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1945

骨粗鬆症などの骨量減少に関連した疾患を治療する新薬の開発には、破骨細胞形成機構の解明がきわめて重要である。今回我々は、C-Cケモカイン受容体2(CCR2)が、骨量のバランスにきわめて大きくかかわっていることを示す。CCR2ノックアウトマウスでは、破骨細胞の数の減少、サイズや機能の低下により骨量が多くなる。正常のマウスでは、破骨細胞前駆細胞のCCR2活性化はNF-κ Bと細胞外シグナル制御キナーゼ1および2(ERK1/2)の両方のシグナル伝達を誘導するが、p38 マイトジェン活性化プロテインキナーゼあるいはc-Jun N末端キナーゼのシグナル伝達は起こさない。NF-κ BおよびERK1/2シグナル伝達の誘導によりRANK(receptor activator of NF-κ B、Tnfrsf11aにコードされる)の細胞表面発現が増加するため、前駆細胞はさらにRANKリガンド誘導性の破骨細胞形成を起こしやすくなる。閉経後骨粗鬆症モデルである卵巣摘出マウスでは、野生型の前破骨細胞でCCR2の発現が増加するために、これらの細胞でRANKの細胞表面発現量および破骨細胞形成能が上昇するが、CCR2ノックアウトマウスは卵巣摘出によって誘発される骨量減少に抵抗性を示す。以上の結果は、正常時および疾患状態でRANK、 破骨細胞、骨恒常性を制御するこれまでは知られていなかった経路を明らかにしている。

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