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関節症:関節リウマチは滑膜繊維芽細胞によって健常関節へ広がる

Nature Medicine 15, 12 doi: 10.1038/nm.2050

活動性関節リウマチは少数の関節だけで発症するが、それに続いて大多数の関節がおかされるようになる。今までのところ、この病気が進行する経路はほとんどわかっていない。関節リウマチ(RA)の滑膜に認められる関節リウマチ滑膜繊維芽細胞(RASF)は、関節破壊に重要な役割をもつ細胞であり、またin vitroでは遊走することができるので、RASFがin vivoで関節リウマチを拡大する可能性を検証した。まず発症の始点となる関節に擬して、健常人の軟骨をRASFとともに重症複合免疫不全(SCID)マウスの皮下に移植した。反対側の脇腹には細胞を含まない軟骨が移植された。RASFは、SCIDマウスへのRASF接種の場所とは無関係に、血管系を介して正常な軟骨へ活発に移動し、標的となった軟骨を顕著に破壊した。これらの知見は、破壊性関節炎の特徴である関節間での広がりという臨床症状が、少なくとも部分的には活性化RASFの組織間の遊走によって媒介されるという仮説を裏づけている。

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