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肝疾患:加齢肝でのシャペロン介在性オートファジーの回復は細胞維持と肝機能を改善する

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1851

シャペロン介在性オートファジー(CMA)は、細胞質のタンパク質をリソソームで分解する際の選択機構のひとつであり、細胞の品質管理機構の一部として変性タンパク質の除去にかかわっている。我々は以前に、老化した生物ではCMA活性が減衰することを見いだし、細胞の清掃に関するこの障害が、変性タンパク質の蓄積、細胞の恒常性異常の一因となり、最終的には老化した生物の特徴である機能喪失につながるのではないかと考えた。本研究では、老化にともなうこのような負の特徴を、効率よいオートファジー活性を維持することで老化が進んだ後まで防止できるかどうかを調べるために、老齢マウスでCMA異常の修正を行った。まず、リソソームのCMA受容体の量を調節できるダブルトランスジェニックマウスモデルを作出した。この受容体は、老化にともない存在量が減少することがすでにわかっている。このモデルを使い、老齢マウスで年齢に依存して起こる受容体存在量減少を防止した影響を、細胞および臓器レベルで解析した。本論文では、受容体存在量減少が防止されるとCMA活性が高齢に至るまで維持されること、またオートファジー活性の保持は、損傷タンパク質の細胞内蓄積の低減やタンパク質損傷処理能力の向上および臓器の機能改善と関連が見られることを示す。

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