Letter

免疫:自然免疫系のTGF-β−Smad2/3シグナル伝達の遮断はアルツハイマー様の病状を軽減する

Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm1781

アルツハイマー病は最もよくみられる認知症であり、病理学的にはアミロイドβペプチド(Aβ)の沈着によるβアミロイド斑形成、ニューロン損傷および脳免疫の低レベルでの慢性的活性化を特徴とする。トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)類は、多様な機能をもつサイトカインで、免疫細胞活性化、炎症および損傷後修復に主要な役割を担う。本論文では、CD11cプロモーターの制御下での優性ネガティブ型TGF-β受容体IIの発現誘導により、自然免疫系細胞でのTGF-βおよびその下流のSmad2/3シグナル伝達(TGF-β−Smad2/3)を遺伝的に阻害したC57BL/6マウス(CD11c-DNR)と、ヒトのアミロイド前駆体タンパク質変異体を過剰発現するマウス(Tg2576アルツハイマー病マウスモデル)とを交配し、アルツハイマー病様の病状を評価した。老齢のダブルトランスジェニックマウスでは、Tg2576に関連した機能亢進が完全に緩和され、空間作業記憶異常が部分的に軽減した。Tg2576-CD11c-DNRマウスでは、脳実質および脳血管のβアミロイド沈着物やAβ量が大幅に低減した(最大90%)。これは、Aβを取り込んだ末梢マクロファージの脳血管やβアミロイド斑周辺への浸潤増加と関連していた。in vitroでは、CD11c-DNRマウス由来の培養末梢マクロファージでは、従来型のTGF-βによって活性化されるSmad2/3シグナル伝達が遮断されていただけでなく、それとは別の骨形成タンパク質によって活性化されるSmad1/5/8シグナル伝達の過剰活性化やAβ貪食の増加が認められたが、培養ミクログリア細胞ではこうした現象は認められなかった。同様の影響は、I型TGF-β受容体であるアクチビン様キナーゼ5を薬理学的に阻害した後にも認められた。まとめると、我々の結果は、末梢マクロファージでのTGF-β−Smad2/3シグナル伝達の遮断がアルツハイマー病の新しい治療標的となることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度