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肥満:レプチンは中枢性でSTAT3非依存性の機構を介して脂肪組織の脂質生合成を制御する

Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm1775

レプチン(Lepにコードされる)は、食餌摂取とエネルギー分配調節により体重を制御する。肥満はレプチン抵抗性と内在性カンナビノイドトーンの上昇を特徴とする。今回我々は、ラットの視床下部内側基底部(MBH)に注入されたレプチンは白色脂肪組織(WAT)での脂質生合成を阻害するが、これはSTAT3(signal transducer and activator of transcription-3)のシグナル伝達とは無関係に起こることを示す。これに一致して、レプチン受容体の変異によりSTS3シグナル伝達を遺伝的に不活性化したs/sマウスでは、完全にレプチン受容体シグナル伝達を欠失させたdb/dbマウスよりも脂肪量が少なくなる。逆に、ラットで視床下部のホスホイノシチド3キナーゼのシグナル伝達を阻害するか、脂肪組織への交感神経支配を除去すると、視床下部のレプチンによるWATでの脂質生合成抑制が消失する。MBHのレプチンはWATで内在性カンナビノイドであるアナンダミドを抑制するが、全身的なCB1受容体活性化によりこの内在性カンナビノイドトーンの抑制が阻害されると、MBHのレプチンはWATの脂質生合成を抑制できなくなる。以上の結果から、肥満でみられる内在性カンナビノイドトーンの上昇は、末梢の内在性カンナビノイドを抑制する中枢性レプチンシグナル伝達が働かなくなることと関連していると考えられる。

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