Perspective

ワクチン:非ヒト霊長類モデルとメルク社HIV-1ワクチンのヒトでの失敗

Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm.f.1759

メルク社が開発した、アデノウイルス5型(Ad5)を基盤としたエイズワクチンは、STEPヒト第2相後期試験(2b)有効性判定でHIV-1感染の予防に効果がなく、治験中に感染した患者のウイルス量の抑制もできなかった。類似のワクチンも以前に、サル免疫不全ウイルス(SIV)を接種したアカゲザルモデルで失敗している。これに対して、サル-ヒト免疫不全キメラウイルス(SHIV89.6P)を接種したマカクザルを使ったワクチン予防研究では、ヒトでの臨床試験の結果を予測できなかった。Ad5ベクターを基盤としたワクチンは、マカクザルでのSHIV89.6P投与による感染を防止できなかったが、感染後のウイルス量は大幅に減少され、CD4+T細胞数が保持された。しかし、この結果はヒトでの臨床試験では再現されなかった。SIV接種モデルの有効性はまだ不十分だが、このモデルをもっと広く使用することはHIV-1ワクチン候補の優先順位決定に役立ち、最も有力な候補ワクチンに研究の焦点を確実に絞りこめるようになると考えられる。現状では、多様なウイルスの接種後にウイルス量を減少させるT細胞ワクチン戦略を設計・開発しなければならないだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度