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免疫:無細胞HTLV-1は樹状細胞に感染してCD4+T細胞へのウイルスの伝達と形質転換を引き起こす

Nature Medicine 14, 4 doi: 10.1038/nm1745

無細胞ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)ウイルス粒子は、in vitroではその主要な標的細胞であるCD4+T細胞にほとんど感染しない。今回我々は、HTLV-1が骨髄系および形質細胞様樹状細胞(DC)に効率的に感染できることを示す。また、HTLV-1に暴露されたDCは、増殖感染の前後いずれでも、迅速に効率よく、かつ増殖的にウイルスを自家の初代CD4+細胞に伝達する。このDCが介在するHTLV-1伝達にはヘパラン硫酸プロテオグリカンとニューロフィリン1が関係しており、長期の増殖感染とCD4+T細胞のインターロイキン2非依存性形質転換を引き起こす。これらの結果、ならびに被感染者の末梢血中でのHTLV-1感染DCの観察からは、DCがin vivoでのHTLV-1の伝達、播種、残留で中心的役割をもつことが示される。以上の結果は、HTLV-1の伝達機構に関する現時点の考え方の変更に加えて、HTLV-1感染後のDC機能の障害が病因に関与していることを示唆している。

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