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血管新生:Robo4は、病的な血管新生と内皮透過性亢進の抑制によって血管網を安定化する

Nature Medicine 14, 4 doi: 10.1038/nm1742

血管新生時にみられる新生血管は伸長過程にある神経軸索との類似性が指摘されているが、実際、多くのタンパク質がこの両方の構造で伸長方向を先導する。Roundabout(Robo)タンパク質は、神経系における機能がよく知られたガイダンス分子受容体であるが、哺乳類の血管系におけるその役割は不明なままである。本論文では、血管内皮細胞特異的RoboであるRobo4が血管の正常機能を維持することを報告する。Slit2によるRobo4の活性化は、Srcファミリーキナーゼの活性化阻害によって、in vitroでは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)-165が誘導する血管内皮細胞移動、管腔形成および透過性を抑制し、in vivoではVEGF-165が誘導する血管内物質の漏出を抑制する。網膜および脈絡膜の血管疾病マウスモデルでは、Slit2が血管新生および血管漏出を抑制するのに対して、Robo4の欠失はこれらの病理過程を増強する。我々の結果から、これまで知られていなかったRobo受容体の血管構造の安定化における機能が明らかになり、また過剰な血管新生や血管漏出を特徴とする疾病に対して、Robo4の活性化が広く治療に応用できる可能性が示唆される。

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