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感染症:ニューロテンシンは敗血症のマウスモデルで死亡率を上昇させ、マスト細胞はニューロテンシン濃度を低下させる

Nature Medicine 14, 4 doi: 10.1038/nm1738

敗血症はしばしば致死的となる疾患だが、複雑でまだ十分に解明が進んでいない。敗血症は通常、感染に対する宿主の異常な反応と考えられる低血圧をともなう。ニューロテンシン(NT)は13個のアミノ酸からなるペプチドで、複数ある作用の1つとして低血圧をもたらす。盲腸結紮・穿刺(CLP)により腹膜炎を誘導した敗血症モデルのマウスでは、腹腔内および血漿中のNT濃度の上昇がみられ、またNTの薬理学的アンタゴニストを投与したマウスやNT欠損マウスでは重症CLP中の死亡が減少することも明らかになった。マウスでは、マスト細胞がNTを分解し、NT誘発性低血圧とCLPにともなう死亡を減少させたが、最適な効果の発現には1型ニューロテンシン受容体とニューロリジンのマスト細胞での発現が必須である。以上の結果は、NTがマウスで重症CLP中の敗血症による死亡に関与していること、そしてマスト細胞がNT濃度を下げる働きをもつことを示しており、CLP後の生存率を高めるマスト細胞の作用はマスト細胞依存性のNT濃度低下によることが示唆される。

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