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免疫:A20は抗原提示のアテニュエーターであり、その阻害は調節性T細胞を介した抑制を解除する

Nature Medicine 14, 3 doi: 10.1038/nm1721

調節性T細胞(Treg細胞)は、自己反応性免疫応答を抑制し、腫瘍ワクチンの有効性を制限する。しかし、Treg細胞の選択的な除去あるいは抑制はいまだにむずかしい問題である。本研究では、Toll様受容体と腫瘍壊死因子受容体のシグナル伝達経路の負の調節因子で、ジンクフィンガータンパク質であるA20が、樹状細胞(DC)の成熟、サイトカイン産生および免疫促進能の制御に重要な役割を担っていることを見いだした。A20がサイレンシングされたDCでは、共刺激分子や炎症性サイトカインの発現が自発的に亢進し、T細胞サブセットに異なる影響を与えた。すなわち、このようなDCはTreg細胞は抑制し、インターロイキン6や腫瘍壊死因子αを生産しTreg細胞を介した抑制に応答しない腫瘍浸潤性細胞傷害性Tリンパ球やヘルパーT細胞を過剰に活性化する。したがって、この研究は、A20がプライミング期とエフェクター期の両方において抗腫瘍免疫応答の制御に働く抗原提示アテニュエーターであることを明らかにしており、また抗原特異的にTreg細胞を介した抑制を解除して、直接Treg細胞を標的とする必要性を低下させる戦略を示している。

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