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ワクチン:弱毒化ウイルスワクチンの複製忠実度の制御による作製

Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1726

ウイルス感染からの長期間にわたる防御には、弱毒化ウイルスを用いたワクチン接種がもっとも有効である。安定な弱毒化ワクチン株の入手は従来、経験にもとづいて行われており、そのためウイルス性疾患用の有効なワクチンの数は非常に限られたものとなっている。本論文では、安全で有効なワクチンとなりうる、安定な弱毒化ウイルスを作製するための合理的な方法について述べる。この方法は、複製忠実度を上昇させてウイルス集団の多様性を制限すると、ウイルスの組織親和性と病原性が大きく低下するという知見を用いている。遺伝的多様性の低いポリオウイルス変異体は、感染の動物モデルで防御的な免疫応答を誘導することがわかった。実際、これらの新規ワクチン候補は、現在用いられているサビン1型ワクチン株の有効性に匹敵するものだが、複製忠実度の上昇が病原性の野生型表現型への復帰を防いでいるためにより安定であるという利点が加わっている。我々は、ウイルス準種の多様性の制限が、さまざまなウイルスに対する安定した弱毒化ワクチンの合理的設計のための一般的な方法となると考える。

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