Technical Report

タンパク質制御系:マウス生体におけるタンパク質の安定性および機能の化学的制御

Nature Medicine 14, 10 doi: 10.1038/nm.1754

タンパク質機能のin vivoでの条件付き制御は、複雑な系内における個々のタンパク質の役割を解明する手法として有力だろうと考えられる。我々は最近、培養細胞で、不安定化ドメイン(destabilizing domain)と呼ばれる小型タンパク質ドメインによって、融合タンパク質のパートナー分子に不安定性を付与する手法を開発した。細胞透過性のある小分子がこのドメインに結合すると不安定性が解消される。本論文では、哺乳類生体でのこの系を用いたタンパク質機能制御について述べる。マウスモデルでは、免疫調節性サイトカインの条件付き分泌により分泌型タンパク質とその生理活性を制御でき、その結果腫瘍負荷が減少した。さらに、特定のタンパク質をコードする遺伝子を全身性送達によって腫瘍に送達した後、今回の手法を用いてそのタンパク質の機能を制御できた。このことから、この手法は標的を定めた遺伝子治療法の特異性や効力を高めるために使えると考えられる。またこの方法は、動物生体でタンパク質の機能を高い制御レベルで調節するための新戦略となる。

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