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敗血症:Mrp8およびMrp14はToll様受容体4の内在性活性化因子であり、エンドトキシン誘発性の致死性ショックを促進する

Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1638

敗血症時の炎症カスケードの調節を行う新たな成分を同定するために、我々は、食細胞の細胞質に多量に存在するMrp8(myeloid-related protein-8, S100A8)とMrp14(myeloid-related protein-14, S100A9)の機能を調べた。本論文では、Mrp8-Mrp14複合体を欠くマウスでは、エンドトキシン誘発性の致死性ショックおよび大腸菌誘発性の腹腔内敗血症が抑えられることを実証する。これらのタンパク質はどちらも食細胞の活性化時に放出され、Mrp8-Mrp14複合体はエンドトキシンが引き起こす食細胞の炎症反応を増幅する。Mrp8は、Myd88(myeloid differentiation primary response protein 88)の細胞内移動や、インターロイキン1受容体会合キナーゼ1およびNFκBの活性化を誘導して、その結果腫瘍壊死因子α(TNF-α)の発現上昇を起こす活性成分である。非機能性のToll様受容体4(TLR4)を発現する食細胞、およびTLR4、CD14、MD2を導入したHEK293細胞を使ったin vitroでの表面プラズモン共鳴実験により、Mrp8がTLR4-MD2と特異的に相互作用し、それによってTLR4の内在性リガンドとなることが明らかになった。したがってMrp8-Mrp14複合体は、敗血症時にTNF-α依存性の作用の上流で食細胞活性化を増幅する新たな炎症成分である。

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