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マラリア:肝臓期マラリアを防御するCD8+Tリンパ球は皮膚所属リンパ節でプライミングされる

Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1628

マラリアに対して現在研究されている予防接種法の中では、放射線照射されたスポロゾイトを用いる免疫が抜きん出た成功をおさめているが、その基盤となる機構はまだ完全に解明されていない。我々は、ネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii)による自然感染を模倣したモデルを使用して、スポロゾイト周囲タンパク質に対するCD8+T細胞の防御応答の進行を支配する早期事象を明らかにした。マラリアを感染させる蚊に刺された後、皮膚リンパ節中の樹状細胞がCD8+T細胞の最初のコホートをプライミングすることがわかった。このようなリンパ部位を除去すると、その後の防御免疫の進行が大きく損なわれる。活性化されたCD8+T細胞は次に、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)に依存して肝臓を含む全身に移動する。しかし、これらのエフェクター細胞は、防御のためにもはや骨髄由来抗原提示細胞を必要とせず、実質細胞(おそらく原虫が寄生した肝細胞)上の抗原を認識する。したがって、マラリア原虫に対する防御免疫の進行および実行の間に、宿主応答は意外にも2つの組織に分かれて行われていると考えられる。

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