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古い薬の新たな標的

Nature Medicine 13, 5 doi: 10.1038/nsmb1089

50年以上も結核の治療に使われているおなじみの薬に新たな標的がみつかった。Nature Structural & Molecular Biology誌5月号に報告されたこの発見は、抗結核化合物の新規設計に役立つはずである。
 結核は世界的な健康への脅威であり、毎年推定200万人の人々が亡くなっている。イソニアジドはこの病気の原因菌に対する最初の防衛線となる薬である。イソニアジドは微生物中のある酵素の作用を受け、最終産物の1つが細菌細胞壁の合成を妨害し、迅速に病原体を死滅させる。
 Blanchardらは、イソニアジドが結核菌の生存に必須な別の過程を標的にすることを発見し、イソニアジド修飾で生じる別種の産物がDHFRと呼ばれる酵素を阻害することを明らかにしている。DHFRは核酸の「構築用ブロック」の合成に重要である。Blanchardらは、イソニアジド代謝物が DHFRを阻害する仕組みについても詳細に説明している。これらの結果から、診療所で認められたいくつもの薬剤耐性結核菌の出現を説明できるかもしれない。また、結核治療の新しい薬剤を開発する土台となるはずである。

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